西本工業

住宅の水漏れ 漏水調査 を得意としております

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ベタ基礎 漏水調査

ベタ基礎の家で在来浴室(タイルのお風呂場)があると床下に水が溜まる件について

床下がプールみたいになっている

※この写真は別の理由で浸水しましたが、状態がよく似ているので使用させていただきました

漏水調査のお仕事をさせて頂いていますと、定期的に床下収納や点検口などを覗いてみると水たまりがある、またひどいケースだと大量の水があり、まるでプールみたいになっているという相談を受けることがあります。

お客様は大げさにおっしゃっているわけではなく、本当に床下がプールや田んぼのようになっているのです。初見の方は目を疑うかもしれません。

この手のケースはほぼベタ基礎工法(地盤をコンクリートで埋め尽くす工法)です。(当然、布基礎では水が浸透していきますから水が溜まることはないです)

ベタ基礎工法は耐震などのメリットから多くみられるようになりましたが、床下が浸水するトラブルも発生しており、その原因は様々です。

雨水が入り込む、給水管が漏水して水が溜まった、結露が・・・などがよく原因として取り上げられます。

これらの案件に関しては多くの専門の業者さんが豊富な経験と知識でHPなどで解説や対応策を提示されているのですが、これとは別にベタ基礎の床下が浸水する案件があります。

それは浴室です。

今回は在来浴室が原因の漏水の仕組みについて書かせて頂きます。

最初の異変は脱衣場から

※床下が浸水したため脱衣場の床が腐り、クッションフロアをめくったところカビだらけになっています


こういう案件で、なぜそうなるのかという説明をいつもお客様にさせていただいているのですが口頭ではうまく説明できないことが多いので自社のHPでご説明することにいたしました。

まずお客様が気が付くのは浴室に接している脱衣場の異変です。

床が腐り、沈んだあたりからお客様が異変に気が付きます。そして他の部屋もカビが生えたり異臭がしたあたりで大きなトラブルだと気が付きます。

※こちらはLIXILさんの在来浴槽の施工書です。説明のためにちょっと拝借しました


上記は在来浴室で浴槽を設置する場合の施工書になります。大手住設機器メーカーのLIXILさんの商品です。

言わば公式の設置方法です。

現場に応じて設置方法は様々あるのですが、基本的にこの方法がとられています。

より拡大して見てみます。浴槽の下はモルタルで勾配をつけて排水口に水が集まるよう成型されており、その下にはコンクリートによる基礎があります。この問題はその構造にあるのです。

モルタルとコンクリートの違いですが、簡単にご説明させていただくと

【モルタル】柔らかくて成型しやすい。強度はコンクリートよりも下で水を通しやすい

【コンクリート】硬くて成型しにくい。強度はモルタルよりも上で水を通しにくい


もうカンの良い方はお気づきかもしれません。

そうです、この構造だと青い部分に水が溜まってしまうのです。

浴槽から吐き出された水はほとんど排水口に入りますが、それでもモルタルは水を含んでしまいます。そしてコンクリートは水を通しませんので、排水口とコンクリートの間の場所に水が蓄積され続けることになるのです。
 

この場所に水が溜まり続け、徐々に他の部屋にも浸透していきます。結果、家の床下に広がっていくことになるのです。

でも防水を、ちゃんとしているんじゃないですか?という声が聞こえてきそうですが1階に設置された浴室まわりというのは防水をしていない、もしくはずさんなケースが多いです。2階より上でしたらガチガチに防水をしますが1階は昔から基礎かブロックで囲う、壁のみにペラペラのピッチ防水にラス紙、土間は無防備、さらに構造を理解していない施工など残念なケースが多いです。

浴室というのは建物の中では、かなり特殊な場所だといえます。なにしろ頻繁に120~200ℓ近い水が放出されるわけですから。
その構造も言わば日進月歩です、どんどん変化します。したがって建物の構造の変化と浴室の施工にミスマッチが起きることもあると思います。ベタ基礎に浴室の水が溜まるというトラブルもその一つかもしれません。

なお、タイルも陶器ということで安心しがちですが目地から水がたくさん浸透しますのでタイルを過信しないほうがいいです。もちろんタイルの洗い場からも同じパターンで基礎に水が浸透していきます。

ユニットバスの完成度が一定レベルにまで達した現在の新築では無縁のトラブルかもしれませんが、もし現時点でベタ基礎に水が溜まるという事案をかかえているのでしたら上記の内容を一考されてはいかがでしょうか?


 

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